- 標準報酬は50段階
- 標準報酬の決め方
標準報酬は50段階
健康保険では、被保険者が事業主から受ける報酬に応じて保険料や保険給付を決定しています。しかし、被保険者の報酬(給料等)には月給や日給、時給、歩合給などがあり、また残業などにより月ごとに変動があるため、そのままの額を基礎とするのは事務的に繁雑となってしまいます。そこで、報酬の月額を区切りのよい幅で区分した「標準報酬」を設定しています。 標準報酬月額は第1級の58,000円から第50級の1,390,000円までの50等級に区分されています。この標準報酬は原則として1年間固定して、保険料や保険給付額の計算の基礎となります。
標準報酬の決め方
標準報酬を決定するときの報酬とは、賃金、給料、手当、賞与など名称にかかわらず被保険者が労務の対価として受けるものすべてをいいます。標準報酬には、基本給のほか残業手当、通勤手当などの各種手当も含まれます。また、定期券など現物支給されるものも金額に換算して報酬額の計算に算入します。
金銭で支給されるもの | 現物で支給されるもの | |
---|---|---|
報酬になる | 基本給(月給、週給、日給など)、賞与(年4回以上支給されるもの)、住宅手当、家族手当、通勤手当、休業手当など各種手当 | 通勤定期、食券・食事、社宅・寮、給与としての自社製品など |
報酬にならない | 退職手当、慶弔費、大入袋、出張旅費、交際費、賞与(年3回以下支給されるもの)など | 事務服・作業服、見舞品など |
標準報酬は、(1)資格取得時決定、(2)定時決定、(3)随時改定、(4)産前産後休業終了時改定、(5)育児休業等終了時改定の5通りの方法で決定されます。
資格取得時決定(入社したとき)
入社したときの初任給をもとに標準報酬が決定されます。その後は、年1回の定時決定または随時改定によって見直しが行われます。
定時決定
標準報酬は、毎年7月1日現在の全被保険者を対象に年1回見直しが行われます。4月、5月、6月の3か月の給与平均をもとに、その年の9月分保険料(10月給与から控除)より1年間の標準報酬が決定されます。
随時改定
昇給やベースアップなどで固定給が変動したり、給与体系が変更されたときで、昇降給した月から3か月間の給与平均をもとに算定した標準報酬と、すでに決定されている標準報酬に著しい高低(2等級以上の差)が生じたときには、随時改定により標準報酬が改定されます。
産前産後休業終了時改定
被保険者が産前産後休業を終了した後、育児等を理由に報酬が低下した場合は、 産前産後休業終了後の3か月間の報酬額をもとに新しい標準報酬月額を決定し、その翌月から改定します。
育児休業等終了時改定
被保険者が育児・介護休業法による育児休業期間(育児休業に準ずる制度による休業期間も含む)を終了した後、3歳未満の子を養育する場合に限り、育児等を理由に報酬が低下した場合、被保険者が事業主を経由して健保組合に申し出をした場合は、標準報酬月額を改定することができます。
ボーナスも保険料に反映されます
賞与等も月額給与と同じ料率の保険料を徴収します(総報酬制)。賞与等が支給されたときには、支給額の1,000円未満が切り捨てられ、標準賞与額として月額給与と同じ保険料率を乗じて保険料を算出します。ただし、標準賞与額の上限は573万円となっています。